T4サミット
ボクは、北海道の山の中で30頭のイヌと一緒に生活していました。そのとき見たものは、イヌたちがじゃれ合い、ときにはケンカして血を流すこともあるという“イヌ同士のコミュニケーション”です。そして、ケンカしても仲直りして、お互いの血を舐め合うという絆。それが、イヌの本能が欲していることだと思います。また、そうやって多くのイヌが一緒に育てば、ケンカをするときがあっても「手加減」するということを覚えるもの。人間、特にボクたちトレーナーは、イヌにいろいろなことを教えますが、イヌには、イヌ同士のコミュニケーションのなかでしか学べないものがあるのです。
私は、愛玩用に人間に飼われることを前提としたイヌは、野生の動物とは別にして考えるべきだと思います。群を作って生活する野生の動物なら、同じ種の仲間は当然、必要でしょう。また、ペットとしてのイヌにはドッグスポーツや飼い主と一緒に楽しむ競技に参加するケースも少なくないでしょう。そして、そういった競技のための訓練には、じつは“イヌ同士の遊び”は邪魔になることがあるのです。飼い主といるよりもイヌ同士でいるほうが楽しいとなってしまうと、訓練の障害となるからです。だいいち、「イヌの友だちがいないのは可哀想」というのは、人間の勝手な思いだと思います。
「犬の十戒」(犬の飼い主のための十戒)に、こんな一節がありますよね。《あなたには友だちもいるでしょう。でも、私にはあなたしかいないのです》。この言葉に胸を締めつけられた経験がある人はイヌの友だちと遊ぶ時間を与えてあげてほしいと思う。でも、どうやって?やはり、同じようにイヌを飼っている自分の友だちを通じてだと思う。じつは、ここのところが大事で。飼っているイヌ同士が仲良くなることで、飼い主=人間の輪が拡がっていくことが本当の幸せだと思います。飼い主の喜びがイヌの本当の喜び。ただ、イヌは人間が思っている以上に、たとえば「匂いだけ知っている」という関係でも、友好関係にある場合もありますが……。
成犬になっても他のイヌを怖がって、ドッグランに連れて行っても震えながらイスの下に潜り込んでしまう……という飼い主さんから相談を受けることがあります。毎回ドッグランから帰るとグッタリしてしまうというので「可哀想だから無理に連れて行かないであげてください」とお願いしました。同じ群じゃないイヌと仲良くできるイヌは仲良くすれば良いのですが、仲良くできないイヌは群のメンバー、つまり飼い主さんと仲良くしていればそれで充分幸せなのです。もちろん、子犬なら慣らしてあげるために連れて行くのは良いのですが、成犬になったら無理強いはしないであげて欲しいです。人間と違い、友だちのいないイヌが可哀想なわけではないので。
ドッグトレーナー4人の意見を聞いてみよう!
T4SUMMIT
愛するイヌの育て方、しつけ方で悩んでいる人は多い。当然のことだろう。教育の問題は人間の子どもに関しても様々な意見が飛び交っている。何を、どう教えるか?…それはやり直しのきかない重大なテーマ。だからこそ、ひとりの“先生”の意見を聞くだけではリスクが伴う。今、流行りの「複合知性」。個性豊かな4人のドッグトレーナーが難問に挑む!
『イヌにイヌの友達は必要か?』
愛犬をドッグランに連れて行っても、ほかのイヌと仲良く遊ぶことができない……。そんな悩みを持っている飼い主は少なくないだろう。また、いっぽうで「うちのコは、自分のことをイヌではなくて人間だと思っているようなんですよ」、そう言って笑う飼い主もいる。はたしてイヌは、飼い主(人間)との関係が充実して楽しく遊んでいれば幸せなのか?イヌに、イヌの友だちは必ずしも必要ないのか? 今回のテーマは、家庭犬として人間に飼われることを基本・前提としている、現在の“イヌという種”の存在意義を問うテーマでもあるようだ。
ためしに、私たち人間の場合を考えてみよう。友だちが大勢いて、いつも仲間と一緒の人は、たしかに楽しそうだ。しかし、だからといって、友だちがひとりもいない人は、それだけで不幸せなのだろうか?要は「幸せ」とは何か、ということかもしれない。そして、人間には人間としての幸せがあるように、イヌにも、イヌなりの幸せがあるはずだ。
もうひとつ、イヌの友だちがいないことで自分をイヌと認識しなくなる可能性もあるだろう。それは不幸なことか?
今回も、イヌに関する身近なテーマから、生きるということの本質的命題へ議論は発展。T4メンバーならではのオリジナリティあふれる意見を闘わせた!
《T4プロフィール》
人とイヌのための住みよい社会の実現に向けて活動する「犬のいろは」から誕生した、業界初・ドッグトレーナーのコラボチーム。
北海道の雄大な自然のなかでイヌを育てるPLATZ/DOG BOND・山田英機、カリフォルニアで学んだカワノ e-ドッグ・川野悌子、シドニーで学んだDoggy Labo・中西典子、カナダで学んだDOGSHIP INC.・須﨑大。それぞれ異なる環境で動物行動学を学んだ個性豊かなメンバーによる多角度からのアドバイスがT4の強みだ。
※お悩み募集中!
愛犬の教育に関する悩みにT4の複合知性がお答えします。
応募はメールone@onebrand.jpまで。
住所・氏名・愛犬の犬種・性別・年齢を忘れずにご記入ください。
●バックナンバー≫『マウンティング行為は是か非か?』





















